散歩道<5104>

                              総選挙・インタビユー・オピニオン
  
                                反TPPの核心(2)                             (1)〜(5)続く  

 戦後日本は、自由貿易体制のもとで豊になった。そして、これからも・・・。そんなこれまでの「常識」は通用しないのか。環太平洋経済連携協定(TPP)への参加を巡って、総選挙で慎重論を掲げる政党が少なくない。でも、本当にうしろ向きでいいのですか?  反TPP、反自由貿易の論客、佐伯啓思さんに論争を挑んだ。

・・・かっての日米構造協議のような二国間交渉なら米国の圧力をまともに受けるでしょうが、TPPなら10ヶ国で米国と団体交渉ができる。その方がやりやすいでしょう?
  「日米FTA(自由貿易協定)の方がお互いの利益が明確になる分だけましです。日本の農業、米国の自動車など重要産業だけを関税撤廃の例外にもできる。無理なら決裂すればいい。原則すべて自由化のTPPは、そういう駆け引きがしにくい。TPP賛成論者は日本に利益があるというが、ルールが決っていないのに利益を得られるとは限らない。
・・・世界貿易機関(WTO)のルールができたのは20年も昔。しかも新ルールをめぐる交渉は、10年のマラソン交渉の末に破綻しました。TPPの試みは、空白の世界ルールを埋める土壌づくりではないですか。
  「WTOが150以上の国で合意するのが難しかったなら、先進国だけ、あるいは中国など新興国を含め20〜30ヶ国で改めて決めればいい。それを補うために二国間のFTAもあるのですから」
・・・日本がTPP参加を匂わせただけで中国が刺激され、停滞していた日中韓FTA交渉まで動き出しました。日米がこうやって中国を何とかルールのある世界へ引きこもうとする。いいことではないですか。
  「中国が容易に国際的なルールに乗るとは思えません。それに今のTPP賛成論には、『いずれ中国が入る』『対中国ブロックになる』という反対の見方がありますよ」
・・・・どの自由貿易圏にも入らなければ、日本はルールづくりで孤立してしまいます。空洞化で国内の雇用機会をますます失います。
  「孤立はしません。現状だって孤立していないでしょう。今の産業の空洞化は、むしろ円高と過度なグローバルコスト競争の結果です」

'12.12.1.朝日新聞・京都大教授・佐伯啓思さん

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