散歩道<984>

                  世界の窓・中印、大国としての「責任」は(1)             (1)〜(3)へ続く

 中国とインドの台頭はいまや国際的注目の的となっているが、この両国をめぐって、最近象徴的な出来事が二つ起こった。一つはグーグル事件である。インテーネットサービスを中国市場に展開するに当って、米国の大手会社い一つ、グーグルが中国政府の意向に沿って、政府批判の情報流通の抑制を約束したといわれる問題である。情報流通の自由を標榜し、犯罪捜査やテロ活動の関連情報ですら米国政府の介入に難色を示してきた大企業が、中国に対しては「筋を曲げた」のではないかと国際的論争の的となった。グーグル側の抑制が事実なら、情報流通の自由に対する配信であり、巨大な中国市場への進出という経済的利益の前に政治的信条ないし原則を緩めたといわれても仕方がないであろう。このことは、世界の大企業が、中国を経済大国として認知する一方で、中国に対し西側諸国の間でなら当然守るべき国際ルールや道義を必ずしも要求しないとの「ダブルスタンダード」を適用した(またはしかねない)ことを意味している。すなわち中国は大国であるがゆえに(そう認知されたがゆえに)大国としての行動の自由をも認められたことになる。

'06.4.19.朝日新聞   国際交流基金理事長・小倉 和夫氏

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