散歩道<959>

               ゆりかご海流歴史シンポ「文化回路としての瀬戸内海(3)       (1)〜(3)へ続く                                                       発表された内容を私なりに纏めたものです。

光・色彩の感性得た:キリスト教文化の出会いは衝撃的だった。外来文化や、日本文化が生まれたことも知っていたおかげで冷静に振舞うことが出来た。自国の文化に無知な人ほど、異文化に直面した時、国粋主義や無国籍主義と言う極端にはしりやすいものだ。多くの文物を携えた中国や朝鮮半島からの使者は、九州から瀬戸内海を通って大和へ向かった。昔の船は潮の流れに逆らって進めない。「潮待ちの」の港が発達し、福山・鞘の浦などの港町に地方文化が花開いた。海にそびえる厳島神社は中国からの使者も驚かせたろう。皇室に伝わる「三種の神器」は、縄文時代から生まれた石の玉、弥生人が崇拝した青銅の鏡、大和朝廷を打ち立てる力になった鉄剣と、正に日本文化の重層性を示している。様々な文化と自然が共存する日本文化は、瀬戸内海が育てたと言っていいだろう。

日本・画家平山郁夫様

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世界遺産に選定を:日本には「全国」を示す「津々浦々」と言う言葉がある。各地が海や川を介した水のネットでつながっていることを示す。道路が発達した中国や韓国で似た言葉を探せば、曲がりくねった道がどこまでも続くという意味の「坊坊曲曲」に当るだろう。日本でも「津々浦々」をイメージしやすいのは瀬戸内海を囲む形で結びついた近畿、中四国、九州からなる西日本だろう。現代でこの地域だけでヨーローツパの一カ国ぐらいの経済力を持っており、「海の州(くに)」とよんでいい。中部地方の「山の州」、関東平野の「野の州」、東北・北海道の「森の州」と、多様な風土の「クニ」で日本は出来ている。この「海の州」にとって、最も重要な道が瀬戸内海だ。私はこの「道」を世界遺産にする為の運動を始めるべきだと考えている。熊野古道は、人々の信仰が自然と溶け合った「文化的景観」として世界遺産に指定された。シーボルトが「これほど美しい場所はない」と絶賛した瀬戸内海の海と島々は、西欧的な「力の文明」に対して、日本的な「美の文明」を象徴する景観として、やはり世界遺産にふさわしい。

国際日本文化研究センター教授・川勝平太氏

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備考:川勝平太氏は、'09.静岡県知事選挙において、新知事に就任された。

'06.3.15.朝日新聞