散歩道<953>
                            
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リレーおぴにおん(1)・ちっちゃな世界写真 世界の縮小化の始まり

 写真の原型は200年ほど前にでき上がりました。写真というメデイアは近現代における「世界の凝小化」のはじまりだったと考えられます。
 以後、映画やテレビ、コンピューターグラフイック等様々な視覚メディアが開発されました。我々は世界を縮小し、縁取り、対象化し、時間塾に沿ってみるという映像の体験スタイルを身に付け、現実を遠近法的、3次元的に見る事に慣れてきました。
 しかし、今年公開されたスティブ・スピルバーグ監督の映画「レディ・プレーヤー1」を見て、バーチャルリアリティ(VR、仮想現実)の浸透により、「世界を外側から眺める」という向き合い方が崩れ、逆に我々がイメージの中に入ってしまう「反転」が起き始めているように感じました。
 映画の登場人物はゴーグルのような3Dディスプレーをかぶり、仮想感覚を伝えるスーツや手袋をつけてVRの世界に入っていきます。VRをしていない人からは、人間が奇妙な仮面の世界に吸収されていくように見えます。
 VRによつて視覚メディアが突然変異を越し、現実とフイクションが分かちがたく入り混じり、人間がいきなり「縁どられない大きな世界」に飲み込まれてしまう。こうした現象が一つの頂点を迎えているように思います。 
<検>文化、<検>科学

'18.11.朝日新聞    東京芸術大学教授・伊東 俊治さん