
散歩道<954>
大集合・(460)1798・ 面白い話(143) ・ リレーおぴにおん・(2)・ちっちゃな世界写真 世界の縮小化の始まり
右の写真はノートルダム寺院
もっとも、著書「ジオラマ論」にも書いた通り、写真の誕生前にも欧州の大都市にはパノラマ館やジオラマ館があり、そこで人々は
大自然や戦場のイメージ空間に入り込む体験を楽しんでいました。パノラマ、写真、映画、テレビ、VRの原型と、約50年ごとに視覚
メディアを刷新するようなひな型がうまれ、ある種の流行現象を巻き起こしてきました。視覚メディアのありようは、人間の感覚や記憶
の構造に非常に大きな影響を及ぼすからです。
カメラの言語はラテン語の「暗い部屋」です。集めた「世界」とともに部屋に閉じこもって楽しむというのは昔からありましたが、また
出てくる方法を養っておくべきです。
現代は祝祭や祭礼、宗教といった人間の英知が細っています。自分が好んで集めた世界の向こう側にあるもの、自分でさえ気づかない
自分を支えているものと交信する道を意識的に用意しておかないと、部屋の中で窒息してしまいます。
それは旅とか精神集中の鍛錬とか、人それぞれでしょう。
凝小化は大人に、子供の目や喜び、幸せを戻す装置でもあり、小さな世界は必要です。しかし、そこにとどまり続けず巨大な世界と往還
しないと、正気のまま生き抜くことが難しい世の中になっていく気がします。<検>文化、<検>科学、
'18.11.朝日新聞 東京芸術大学教授・伊東 俊治さん