散歩道<928>
経済気象台(26)・組織腐敗
現代の企業は組織で行動しているので、個人が引き起こした事故とか不祥事といっても、実際には組織の欠陥が原因であることが多い。この観点から、ジェームス・リーゾンというイギリスの心理学者は、原発や航空機あるいは金融機関の事故を調べて、組織事故という考えを提起している。彼は組織事故をなくすには4つの「安全文化」が必要と述べている。情報を隠さない「報告する文化」、信賞必罰を行なう「正義の文化」、失敗の経験を生かす「学習する文化」、必要に応じ組織や仕組みを改変する「柔軟な文化」である。又、ウエストラムというアメリカの産業社会学者は、情報の取り扱いに関し、「病的な文化」「官僚的な文化」「活力のある文化」という3種の組織文化を分類している。不祥事を引き起こした企業を見ればこの中のどのような文化をもっているかは想像に難くない。また、変革を起こす文化革命に必要な努力の度合いも推測できる。元々は個人や末端の部署が起こした些細な事故や不祥事であっても、放置し適切な処置をとらなければ、不祥事が繰り返され泥沼に入っていく。相次ぐ事故にもかかわらず、顧客を置きさりにしたまま、経営陣が争い、労使が対立を続けるJALがその最近の事例であろう。これは「組織腐敗」とでもよぶべきものであり、組織の持続可能性はその文化に依存するということである。組織腐敗はもちろん企業にとどまらない。むしろ、説明責任や透明性をないがしろにし続ける官僚組織のほうが問題は深刻である。企業であろうが、役所であろうが、失敗した組織がやらねばならない手順は明らかである。大規模な人員削減 、資産処分、債務カット、経営者更迭であり、この後に初めて株主や国民に負担を求めるべきである。さもないと、失敗のDNAが残存し、それが組織内に蔓延し(まんえん)し、2度、3度と失敗を繰り返す。