散歩道<901>
経済気象台(21)・スイスチーズ・モデル
列車事故*1、粉飾決算、株式偽装報告*2、耐震強度偽装*3、官製を含むもろもろの談合等々、相変わらず不祥事が頻発している。組織は本来あらゆる不測の事態に備えたリスク管理を行なう必要がある。それでも事故・事件・不祥事に至るのはリスク管理に失敗した経営の責任である。これを不祥事の典型例として、列車事故で「スイスチーズモデル」を使って検証してみよう。スイスチーズとは穴のあいたチーズということである。リスクは予防、軽減、移転しても、完全になくすことはできない。ちょうど穴のあいたスイスチーズのようなものといえる。鉄道会社は事故回避の為にさまざまな防御策を講じる。防御策それぞれが1枚1枚のスイスチーズに当る。この会社は経費節減のためにATS の設置を怠り、競争力向上の為にダイヤを過密化したといわれる。同業他社と比べ、スイスチーズの枚数が少なくなっていた。また、社員教育では日勤教育と称するいじめのような処置が日常化していた。教育によってスイスチーズの穴を狭める所を、逆に広げてしまったのである。更にリスクはリスクを呼ぶので、事故が発生すれば新たなリスクを阻止し、企業を守る為に、クライスマネジメントが必要になる。会社はここでも、職員の危機意識の欠如や責任を取らない経営陣のなどスイスチーズのもろさを露呈してしまった。リスクが顕在化し、事故・事件・不祥事といった深刻な問題にいたるのは、何故かのスイスチーズのアナが直列し、そこをリスクという弾丸が貫通する場合である。従って、組織における事故や不祥事の直接の責任が1個人・1部門にあるといしても、防御システムの構築に失敗したという意味で、経営の責任は免れようもないのである。企業に限らず、失敗した経営者が居座り続ける組織が、社会の信頼を回復することは難しい。
'06.2.朝日新聞
備考:与謝野経済財政相の話:法律には、条項と条項の間に守らなくてはいけない規定というものがあるという説明である。(NHKTVにて)
備考:<543>*1<825>*2〜<836>*2<738>*3 