散歩道<881>
世界の窓・日韓国民レベルの連帯を(1) (1)〜(2)へ続く
昨年は日韓両国政府の合意で「日韓友情年」と名づけられていた。皮肉なことに友情年は政治的な摩擦が激しい年だった。竹島問題、日本植民地支配の関係、日本の教科書に置ける近代史の記述、或は小泉首相の靖国神社参拝などをめぐって軋(きし)みが生じた。こうした摩擦の原因として、しばしば日韓の歴史問題に関する認識ギャップの存在が指摘される。しかし、日韓摩擦の底流には、もっと深いものがあるのではないか、このうち日本側に由来するものはさておき、韓国側の政治、外交の底流に存在するものに目を向けたい。最も重要な底流は、韓国における北朝鮮への脅威への認識の変化である。「反軍事政権」を叫び、民主化運動に熱意を持ってきた韓国の新しい世論指導者や政治家(60年生まれ80年代大学生だった、いわゆる386世代)は「北」への戦略を優先したかっての政権に対する反発も手伝って、北朝鮮への民族的同胞意識を強くもっている。しかも現在の韓国の北よりの姿勢は、韓国民の愛国主義を、体制の差やイデオロギーを捨象して民族主義一筋に置き換えられたものとなっている。このことは日韓関係に重大な問題を提起する。それは第一に、日韓両国が「北」への安全保障上の戦略を共有できないことになりかねない点である。加えて深刻な問題として、日韓両国の政治的価値観の共有に関する意識の違いの問題がある。韓国において「北」への親近感が高まるにつれて、民主主義や自由経済原理を日本と共有しパートナーを組んでいる事の重要性よりも、体制の違う北朝鮮との関係をも抱含した形でなければ日本と真のパートナを組めないという意識が台頭してくるからである。
'06.1.18.朝日新聞・国際交流基金理事長・小倉和夫様
備考:民放に出演されている06.6.小倉和夫様を見た、迫力があってかっこういいね
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