散歩道<868>
大集合(392)・1670・ 思想の言葉で読む・21世紀論・マルチチュード(1) (1)〜(3)続く
「共の時代」迎えた人類
難解な言葉が知の世界を歩き回っている。「ただの流行では」懐疑的な声をよそに言葉は姿を大きくしている。「マルチチュード」だ。1月の初め、台湾の中歴市にある国立中央大学で「マルチチュード生/身体」と題した学会が開かれた。主催は現地の文化研究学界など。日本から講師として参加した社会思想史研究者市田良彦氏(神戸大学教授)によると200人を超える研究者が「マルチチュードはアジアの現実とどう関係するか」という議論を繰りひろげた。論争は欧州から米国、南米にも広がっている。日本でも関連本の出版が相次ぐ。一方で書評などでは疑問や反発も目につく。「感情価の高い言葉の乱発」「消費される思想に意味があるのか」「マルチチュード」とは、一体何なのだろうか。もともとは古くから使われていた言葉。ラテン語の辞書には多数、群集とある。スピノザの哲学でも知られる。古い言葉に新しい息を吹き込んだのがイタリアの哲学者ネグリと米国の比較文学者ハート。マルチチュードはただの群集ではなく、グローバルな世界に登場した多様な人間の集合体のことだという。マルチチュードには世界を動かす力があるが、形はあいまいだ。「われわれは、マルチチュードがいたる所に拡散しているような状況におかれている。」(『<帝国>をめぐる五つの講義』) '06.2.15.朝日新聞、
備考:散歩道<99>日本に影響を与えた外国人、<662>*1明治文化人の訳業・外来語、<663>*1日本人の造語能力、
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