散歩道<864>

                  大集合(388)・1666 思想の言葉で読む21世紀論・再魔術化(3)  (1)〜(3)へ続く
                               
科学文明の陰、闇が広がる

 
「大きな理由は科学技術が実は魔術と切り離せないものだからだ」と語るのは科学史家の村上陽一郎氏(国際基督教大学)だ。「近代の科学技術の側面は伝統的な魔術に根ざしている」と村上氏は指摘する。「中世の錬金術は現代人からは不合理であやしげなものに見えるが、物質を混ぜ合わせて実験し、記録するという科学的な発想や技術は錬金術の中で鍛えられたのだニュートンが錬金術について多くのメモを残した事実はよく知られている。「万有引力のように見えない力を説くことも、当時は一種のオカルトだった」という。「人間が自然を操作できるとする科学の考え方自体に、そもそも魔術性がある。かっては魔術が果たした役割を、現代の社会では、科学技術が担っているとも言える」 科学文明が高度化すればするほど、そこに陰のように寄り添ってきた魔術的な世界も力を増していくのか。村上氏は科学技術の光と人間の理性によって世界の全てを明らかにするという近代の目標も、結局は挫折したと見る。「暗い闇を消しても、その先に別な闇が現れる。闇を消す努力自体が新しい闇を生み出す。文明社会が人間に強いる痛みや病気を見ても、人間が生きる世界には、どこまでいっても暗闇の部分が残ることが解かってきた」文明の光の陰に広がる暗い闇。目をこらすと、何が見えてくるのだろうか。'06.2.13.朝日新聞

散歩道<490>21世紀の環境・経済・文明講演会(1)、<461>(2)、<462>(3)、<490>21世紀のビジョン改革のバイブル、
散歩道<130>昔の魔法・現代の魔法、<379>水木しげる様の世界、<450>-18、面白い話・情報化時代は何でも記号化する。<504>曽我蕭白展