散歩道<858>
大集合(382)・1660・ 経気台(18)・心の高成長
このところの好調な景気指標からみると、政府が掲げた今年の実績2.7%成長目標は超過達成になる可能性が高まっている。それでも政府は「まだデフレ下である」と言うが、政府デフレ脱却キャンペインは、ポスト小泉、及び来年の参議院選を睨んだ政治の道具との感がいがめない。つまり、ポスト小泉政権が翌年の参議院選挙で敗北しないように、今から株価や不動産価格ひいては名目成長率を押し上げたい。そのために、日銀には引き続きゼロ金利を続けさせようというものだ。所得が増えるに越したことはない。株価が上がるのも悪くない。しかし、それでも貨幣価値で図ったGDPの高まりや、資産価値の高まりで物欲を満たし、政府が国民の心をつかもうとすることには、いささか寒いものを感じる。人の喜び、満足は、相対的な面がある。自分の所得が減らなくても隣の芝生が青く見えて悲しくもなれば、震災のあとの温かい食事やトイレの提供にこの上ない喜びを感じることもある。市場原理の時流にのって大金を得、家政婦を雇って家事の面でもGDP成長にGDP貢献する反面、家族の間に冷たい溝が出来る世帯もあれば、つつましく夫婦が協力して家事、子育てをして幸せな家庭を築くものもある。どちらが幸せかはそれぞれの心で感じるものだ。いよいよ人口が減少期に入り、成長率の低下が危惧されている。実際、生産年齢人口はすでに減少に転じており、例えば就業者数は1997年をピークに、その後は昨年までに200万人も減っている、この間の実質GDPは6.5%の増加にとどまったが、就業者数1人あたりの生産所得は10%増えたことになる。家族や社会が平和で幸せに暮らせれば、貨幣価値で計った所得が低成長でも、心の成長率をさらに高めることは出来る。物欲で国民の心をつかむ前に、現政権にはそもそも国民の幸せの何たるかを考えて欲しい。'06.2.6.朝日新聞
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