散歩道<810>

                     散歩道・面白い話・大集合(346)・1595
               思潮21主体的日本とは何か(1)・ 独自の情報基盤で多様な政策選択を             (1)〜(3)続く           

1595、 広島の女児殺害事件の犯人が入国ビザ偽装のペルー人だったということ、昨年の反日デモのような出来事を機に中国・韓国への日本人の嫌悪感が高まっている。怒りや苛立ちの中に人間は憎み嫌悪する。素直な感情の吐露でもあるが高じると「ペルー人は」「中国人は」と一括(くく)りにした思考回路の単純化が始まる。海外で生活している日本人も単純な決め付けの対象にされ、当惑することがある。私自身米国に滞在期にオウム*Aによる地下鉄サリン事件が起こった時の体験が忘れられない。「あなたも佛教徒か」と聞かれ「まあ、そうだ」と答えると、オウムも佛教徒だろう。佛教って不気味だね。日本人も佛教徒が多いから何をするか解からないよな」と言われ、憤慨して反論したことがある。9・11事件以降の米国におけるイスラム教徒への猜疑(さいぎ)心と嫌悪は尋常ではない。人間一人一人の評価が大切と理性で理解していても決め付けの誘惑に吸い込まれがちになる。自分の理解を超えた事象に直面すると、極端な単純化という罠に陥りかねないのが人間社会なのである。
'06.1.朝日新聞    (財)日本総合研究所理事長・寺島実郎

散歩道<370>寺島実郎・時代の深層底流を読む(1)〜(2)、<652>脱9・11への転換(1)〜(2)、<777>備考*A