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                      散歩道・面白い話・大集合(324)・1556
                    新・欲望論(E)・「私」消え止まらぬ回路」        (D)~(F)と続く
                            消費社会化で本能から変質

 けれども、こうした形になった欲望は、本当に「私」の欲望か。「私」は家は欲しかったのだけれども、その欲望は正しくこういう形をしていたのか。仮に、たしかに家族の笑顔を見たいが為に家が欲しかったのだとしても、家という欲望と、家族の笑顔という欲望は本来別のものであり、これを一つにしたのは「私」ではない、広告である。このように、消費者と名付けられたときから「私」は誰かが作り出した欲望のサイクルにとりこまれている。そこでは「私」は覆い隠され、ただ大量の情報に目と耳を奪われて思考を停止した、「私」ではない何者かが闊歩している。こうして欲望から「私」が消え、おおよそ政治の権力闘争から一般の緒消費生活まで、欲望のための欲望と化して、現代社会はある。欲望は「私」の外部で回転し、「私」を駆り立てる。そこに明確な主体はおらず、従って欲望を止めるものはない。個々の欲望の当否は、殆ど損得に置き換えられ、損得も又外部化されて新たな欲望になるだけである。2006年1月6日
'06.1.5.朝日新聞・作家・高村薫様

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