散歩道<784>        

                       散歩道・面白い話・大集合(322)・1554
                   新欲望論(C) 多様性こそが「合脳的」             (A)~(C)へ続く
                        文化を貧しくする拝金主義

1554、 人間の欲望は複雑で単純に割り切れるものではないが、快楽の多様性を認め、単一の価値観で割り切ることの愚を悟ることが大切ではないか。何を嬉しいと感じるかということには個人差がある。毎朝、コーヒーを飲みながら、「今日もあの未解決問題についてたっぷり10時間も考えることが出来るのか!」と胸を弾ませる数学者もいる。体の弱った人を介護し、その笑顔に接することを何よりの生きがいにする人もいる。たとえベストセラーにならなくても、自らの魂を込めた一編の小説を世に送りだすことに至上の喜びを見出す作家もいる。私たちの脳の中で、ドーパミン*6の上流に位置する「快楽のアマゾン河」は広大であり、人それぞれある。欲望のあり方が単純に割り切れないことを認め、その多様性を育むことが何よりも「合脳的」な倫理規則ではないか。アカデミズムの危機に戻ろう。社会が拝金主義で塗りこめられることを敏感に感じて、せめてキャンパスにいる間くらいは学究に浸りたいと願う学生はむしろ増えている。かって本居宣長の下に集まった商人たちは、「散々道楽もしたが、学問ほどの快楽はない」と感嘆したという。ビジネスの直結した研究は案外つまらないものである。自らの内なる快楽の質を追求することが歴史を変えるような知的飛躍につながる。欲望は地上の充足に向かうのみならず、精神の高みに至る原動力でもあることを、現代人は思い起こしてみてはどうか。2006年1月5日
'05.1.4.朝日新聞、脳科学者・茂木健一郎様

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