散歩道<768>

                                  散歩道・面白い話・大集合(309)・1524
                       私の視点・ランキングの読み方・ 内実みて気づきの一助に

1523、 我々はランキングが好きだし、木にもやむ。NO1でなくても・・・・と強がるのは、実は、気になるアイツに順位を抜かれてへこんだ時だ。
日本で経済協力開発機構(OECD)が注目されるのは、最近は各種の国別ランキングの発表の時と相場が決まっている。「幸福度で対象38か国のうち23位」。昨秋、「幸福度指標」を公表した際の報道の見出しだ。では、日本人だけがランキング魔かと言えば、それは違う。発表の翌朝、OECD加盟国の同僚も、自他の順位をそらんじている。
しかし、OECDの統計家たちは内々に言う。「各国比較は素顔でなくモンタージュ写真だ」。濃淡や軽重があるデータ-を繋いだこしらえものだ、だからご用心あれ
・・・・と。
 集積したデーターを操り、複雑な事象を分析する専門家が、そういう。くわしく聞くうち、ランキングをおおう4枚の被膜が見えてきた。
 第1は標語の数々だ。「よい暮し」「格差」「貧困度」とはなんだろう。包装紙のように一目はひくが、中身は見えず、人によって解釈はさまざま。だが、インパクトが減るから注釈は省かれ、「日本は幸せじゃない」という印象だけが残る。これこそ、不幸でなくて何だろう。
<検>統計

1524、 第2にランキングは、データーや指標を選ぶ段階から、一定の価値判断をのがれられない。「幸福度」を図るには「1人当たり部屋数」のデーターも用いるが、これで本当に幸せが測れるなら、「サザエさん」のカツオくんンとワカメちゃんの相部屋は解消すべし、と提言されよう。だが、磯野家のだんらんは失われるかもしれな。また「健康」は、自己申告の健康と、平均寿命という客観指標を併用するが、日本は寿命で1位、自己申告で37位というのが皮肉だ。
 第3に、各国から均質なデーターを集めるのは難しい。統計制度の違いや母集団の取り方の差異などが原因だ。欲しいデータがない国があり、不都合な情報を出さない国もある。
 最後に、ランキングの多くは統計家が処理した「作品」だ、という事実を見逃しがちだ。客観中立を装う数字の背後には、統計家や組織の、主張を証明したいという動機が潜む。

 そんなランキングに意味はあるのか?ある。温暖化対策のような国をまたぐ取組から、身近な働き方改革にいたるまで、いまほど政府のみならず、市民社会の個人の行動が重要な時はない。OECDなど国際機関は各人の気づきの役に立とうと、学究的な厳密さを多少犠牲にしてでも、平易な説明に努めている。
 万人の感覚に訴えるランキングは、その便法だ。順位に一喜一憂せず、その内実を読み込み、社会を改善する一助としよう。<検>統計
外務省OECD代表部参事官  阿部 憲明氏