散歩道<721>
                散歩道・面白い話大集合(269)・1393 日本絵画が「かわいい」(1)~(2)
1391、日本絵画が「かわいい」(1)
 日本絵画がかわいい。「かわいい」文化はいまや、海外にもそのまま「かわいい」という言葉で広まっている。さきがけといわれるのが、13年の府中美術館であった「かわいい江戸絵画」だそうだ
(企画したのは金子信久さん)。今は、伊藤若冲や丸山応挙が描く子犬を見ると、思わず目を細めるらしい。かわいいという言葉は、「恥ずかしい」という意味から始まったと言われ、やがて「かわいそう」の意味へ変化、さらに「いとおしい、愛らしい」という意味合いに広がり、江戸時代に一般化した。古くは平安時代に清少納言は「枕の草子」で今の時代の「かわいい」に近い感覚を「うつくし」という言葉で表現している。このかわいいという言葉には、生き物への思いやあわれみ、同情の念などがあふれている。

1392、 日本絵画が「かわいい」(2)
 美術史では国宝「鳥獣人物戯画」
(平安~鎌倉時代)がかわいらしい絵の筆頭だろう。しかし、かわいい絵が花開いたのは江戸時代である。明治学院大学の山下雄二教授は「格式ばった狩野派の権威が弱まった事にも関係がある。画家達が画風にとらわれず自由に創作できるようになつた。金子さんによれば、「かわいい」の語源になったものに、「かわいそう」やけなげなもの、慈しみ、おかしさ、小さなものぽつねんとしたもの、純真無垢(むく)といった感じ。福岡市美術館の中山喜一朗さんは「犬図は一見、ゆるカワだが、身近でけなげな命をとらえ、一筆でさっと描いたことでみずみずしさを表現。対象に向けた作者の優しいまなざしが読み取れるのが面白い」といわれる。'18.3.18.朝日新聞

1393、手のつけられないじゃじゃ馬「おてんば」
 
「御転姿」と”婆”の字をあてていても、おてんばが、ふつう若い女性のことをいうのは周知のとおり。転という字が、はねかえりの状態をいかにもよく表しているようだが、これらはすべて当て字である。この言葉、オランダ語のOntembaarで、江戸時代日本に入ってきたとの説がある。「オテムバアル」のうち、ルは弱く発音するので、日本人には「オテムンバ」と聞こえたのだろう。オテムバアルとは、飼いならせない、野生の、という意味で、手のつけられないジャジャ馬にぴったり。なお、「オ」は否定の接頭辞なので、「転婆」となると、本来の意味からはおしとやかになるはずだったが、日本ではお転婆と同義なのもご愛嬌か。樋口清之様