散歩道<6997>

 平成の30年間で、生命科学は飛躍的に進歩した。一方で原発事故も直面し、科学技術の使い方を誤れば大きな打撃になることも痛感した。人類が手にした大きな力をどの様に使えば幸せな未来に繋がるのか。私たちはその選択をすべき「分水嶺」に立っているのではないか。日本の科学技術を牽(けんいん)する山中伸弥さんに聞いた
                       新時代・令和・ 分水嶺の科学技術(3)

 研究力低下は深刻 創造性の高い若手 シニアが支えよう

■  ■

 科学の進歩で寿命が延び、社会的な弊害も指摘されます。
 「私たちは平均寿命と健康寿命を1年でも短くすることを目指しており、ただ寿命を延ばす研究はいていません。30代の初めのころ、留学先の米国の指導者がこう言いました。『シンヤ、一生懸命研究すると、心筋梗塞
(こうそく)でなくなる人は減るだろう。個人にはいいことだが、社会として本当に幸せなのか』。当時、そなことは政治家とかに考えてもらえばいいと想い、一生懸命研究することしか考えませんでいた。それから25年。医療技術の発達もあり、平均寿命は延びました。教授の定年も65歳になり、将来は70歳になるかもしれない。若者の職を奪うことになりかねません、何処の組織でも同じです」
・・・IPS細胞研究所も9割以上が有期雇用だそうですね。
 有期雇用が多いのは、」研究所の財源がほとんど期限付き」だからです。でも研究成果を実用化して患者さんに貢献するには、長い期間がかかります。そこで、長期支援をして下さる応援団が必要になるのです。寄付を募って、長期雇用する為の財源や、若手研究者の育成、知財の確保や維持に使っています」
<検>科学

'19.7.20.朝日新聞・京都大学IPS細胞研究所超・山中伸弥さん