散歩道<6977>
経気台(928)・もっとお行儀を悪く
日本から進出した企業のフイリッピンの工場を歩くと、子持ちで17歳、18歳という現地の女性を見かける。
「子育ては?」と訊けば、「子供は母親が私の姉の子供と一緒に育てている」という答えが代えつてくる。母親の年齢は34歳とか35歳。その年齢で孫の面倒を見ている。
フイリッピンやインドネシアでは、世代を越え子育てを助け合う大家族も少なくない。日本ではすっかり珍しくなった光景である。
さいきんの人口動体統計が先日発表され、2018年に生まれた子供は91万人と過去最低を更新した。高度成長を支えた団塊の世代が毎年260万人を超えて出生したのと比べると隔世の感がある。
人口が増えたのは保育所や託児所があったからではなく、子育て環境が良かったわけでもない。60年代の初期は高卒初任給がまだ1万2千円程度で、途上国そのものだった。
あらゆる資源で最も大切なのは人材である。その衰退・枯渇はゆゆしいことだ。移民や難民が大量に流入して混乱を招いている国もあるが、日本の場合は海外から労働力を受け入れないと、成り立たない産業や地域が増えている。
先進国で出生率が比較的高いフランスだが、同国の人口学の泰斗のエマュエル・トッドは、人口減少に直面する日本に必要なことは「自動車の完成度を高めるようなことではない」という。日本人にたいし、「もっと社会の秩序を緩くして」「お行儀が悪くなること」と説いている。
例えば、「子育ては母親の仕事だ」という価値観そのものがかわらないと、子供は増えないということだろうか。もっとおおらかな国であってもよい。<検>経気台、<検>政治
'19.6.14.朝日新聞
備考:政治を含む社会全体が、若者がもっと自由に生きれるような対応が要求されていると思う。
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