散歩道<6915>
経済気象台(903)・人口減がもたらす真の危機
新年早々不景気な話で恐縮だが、日本の人口の減少のトレンドはもはや止められない。ひるがえつて見るに明治以来、日本の社会経済システムはほぼすべて「右肩上がりを暗黙の前提に構築されてきた。戦前は「富国強兵」「大東亜共栄圏」、戦後は「高度成長」。雇用も市場も社会保障も教育も、そして個々の人生設計も、「今日よりも明日は増える」ことを前提に成り立っていた。
バブル崩壊以降これだけ長期間経済停滞が続いても我々はどこかで「これは異常事態で、何時かは反転し状態に戻る」と思っていたのではないか。「右肩上がり」は、日本人の嗜好を規定する「常世のルール」であり、その大前提は『増え続ける人口=拡大する市場』だったのである。
ということは、「人口減少社会」というメッセージは単に人口が減るという人口学的事実以上の大きな心理的社会的インパクトを人々にあたえる。社会の歯車がすべて逆に回り始め、縮小均衡に向かう。言いようのない不安が人々の心を覆い尽くす。人口減少がもたらす真の危機は、まさにこの「人々の心理を覆う不安・悲願」が「社会不安」を生み、「社会制度に対する信頼の瓦解(がかい)と社会統合の危機」をもたらすという「奈落へのスパイラル」を生むことにある。
人口減少が不可避の現実となった今、我々が考えるべきは、「社会の発展ンを支えるのは構成員の自己実現の総和(Σ)(シグマ)である」という単純な事実に思いを致すことだ。
個々人の自立つを保障し、可能な限りその能力を開花・発展させることのできる社会、それを支える理念・制度を作り上げる事。きっとそれ以外には、われわれの未来を描く方途とはないだろう。<検>経気台
'19.1.10. .朝日新聞
備考:この事実に日本全体で取り組むべきと思う