散歩道<6897>a

                       波聞風問
美の担い手(3) ・職人の技 未来に残すために   '

 参考になる事例があった。
岩手県の伝統工芸、南部鉄器である。2010年の上海万博に南部鉄瓶を出店したことから、中国での人気が一気に高まった。中国の硬水を鉄瓶で沸かすと柔らかくなっておいしくなるという。訪日中国人の莫買い対象にもなり、生産量はこの10年で十数倍になったという話もある。生産組合に聞くと、「後継者はしっかり育っている」という。
 幸い、来年には東京五輪、25年には大阪万博が開かれ、日本への関心はいやおうなく高まる。こうした機会を活かせないのか。これまでの万博を踏襲すれば、先進技術を使った未来の生活シーンの提案が中心だろう。ただ、それだけではなく、この国が継承してきた手仕事の今の姿を改めて披露する機会にもしたい多くの訪日客が京都や奈良、高野山に求めるものとの共通の価値を示せるのではないだろうか。
<検>文化、<検>企業

19.3.26.朝日新聞・編集委員・多賀谷克彦氏