散歩道<6896>

                       波聞風問
美の担い手(2) ・職人の技 未来に残すために   '

  近世まで、日本の美は生活の中にあった。絵画は西洋画のようなキャンパスの中ではなく、ふすまや屏風、調度品に描かれた。呉服もその1つ彫刻や造形は仏像や建築、造園の世界にも広がる。考えれば彼ら、職人の技がとだえれば、新たな美の創造も、継承された美の修復もままならない。
 こんな話を聞いたことがある。フランスには国家最優勝職人章(MOF)という国家称号がある。1920年ごろ、技術、知識の継承と社会的地位の向上を目的に始まった。取得者には、フランス料理のポール
ポギューズらがいて、職人の地位向上に果たした役割は大きいという。
 日本にも人間国宝などの称号はあるが、職人に対する処遇や社会的地位は必ずしも高いとは言えない。次の世代が、その世界で働いてみたいと魅力を感じる環境を整える必要がある。多くの人が作品を目にする機会も欠かせない。
<検>文化、<検>企業

19.3.26.朝日新聞・編集委員・多賀谷克彦氏