散歩道<6875>
                                    オピニオン・ 迷走の英国・どこへ(2)


 欧州連合からの離脱期限となる3月29日を前に、英国が混迷の度合いを深めている。何がこの事態を招き、英国はどこへ向かうのか。反EUの背景にある移民や労働市場開放の問題は、日本の将来とも無関 係ではないと、英社会学者で欧州社会論の第一人者であるエイドリアン・ファベル氏は指摘する。来日を機に聞いた。

 多文化主義の理想 今や誰も口にせず 崩壊した国際感覚

 「それはある意味で当然です。英国は日本のように強固な特徴を持つ島国である一方、『太陽が沈まない』といわれた旧植民地帝国でもあったからです。英国内各地から渡ってきた多数の非白人が英社会の一部を構成するようになっていた。英国は、実際には「イングランド伝統文化を抱く白人社会」などではなかったからです」
 「英労働党政権は、さらに労働市場を開き、移民を受け入れ、移動の自由を促進する選択をしました。それは経済の活性化を招き、英国に繁栄をもたらせた。ロンドンはこうして「欧州の首都」の地位を勝ち取った。多くの人が、欧州市民としてロンドンに自由に居着くようになったのです」
・・・・EU離脱を求める人が移民や多文化主義に牙をむいている今の英国とは、対照的です。
 「英国のEU離脱はつまり、このような状況に対する反動でした。確かに繁栄の恩恵が国内に均等に割り振られたわけではありません。恩恵を受けなかった地域では排外主義が高まりました」 
 <検>外国、<検>政治

'19.2.14.朝日新聞・英リーズ大学教授・エイドリアン・ファベル氏