散歩道<6855>
異論のススメ・平成の終わりに思う(3)・にぎやかさの裏 漂う不安
その正体を特定するのは容易ではないが、何かが上手くいっていないという。里あまるほどの自由を享受しながら、どうしようもなく窮屈で、つねに心理的ストレスを感じている。安倍政権の評価とは別に、政治そのものが体をなしていないのではないか、という。かってない豊かさを享受し、あらゆる珍しいものが食卓に並ぶが、別に欲しいものはない。仕事とは見つかるが、はたらいてもやりがいがない、という。ネットでだれとでも繋がるが、本当に信頼のおける仲間がいない。
そして、実際、心の不安を抱えるものは多く、また家族や親子等の近親者間での犯罪が多発し、あおり運転などというものも実現する。
表面のにぎやかさ背後でなにか大事なものが壊れている、という印象をわたしもぬぐえない。
この数年間で、市場競争はますますグローバルな規模絵と拡張し、情報関係のイノベーションはさらに加速した。つまり、世界の国や人々の間の空間的な距離はちじまり、新しい技術開発は一層短時間になっている。その結果、一方では人々にグローバルな舞台が用意されると同時に、そのためにかってない競争圧力にさらされ、イノベーションの加速は、これも人々に新たな可能性を開くと同時に、絶えず時間との戦いを強いている。社会の流れについていけないものは多大なストレスを受けざるを得ないし、この変化と競争の真ん中にいる者も、もはや抜けだすことの出来ないメカニズムの自動運動の中で疲れ果てていく。<検>政治、<検>世相、
19.3.1.朝日新聞・佐伯 啓思氏
