散歩道<6826>
日曜に想う・「上からの弾圧」より怖いのは(1)
天気図に縦縞が並ぶとき、季節風は雪を降らせて山を越え、関東平野で空(から)っかぜになる。昨年の師走の1日、吹いてくるかぜに向かいように列車に乗って、長野県の上田市を訪ねた。
関東の冬晴れが、軽井沢を過ぎるあたりから雪もようになった。故・金子兜太さんが揮毫(きごう)して昨年2月に除籍された「俳句弾圧不忘の碑」は、冬かれた丘の木々の中に静かに立っていた。
俳句弾圧とは、時局にそむく作品をつくったとして、1940年代に治安維持法違反容疑で相次いで捕らえられた事件をいう。「不忘の碑」の説明文によれば少なくとも44人が検挙された。
碑には弾圧を受けたうち17人の句が刻まれている。その1人渡邊白泉は今月29日が没後50年になる。白泉の名は知らなくても、この句は知っている人は多いのではないか。
<戦争が廊下の奥に立っていた>
いつしか忍び寄ってきた戦争が、気づけば暗がりにぬっと立っている。戦慄的な暗唱の句は、昭和の戦争のイメージを呼び覚まして不朽である。<検>戦争
'2019.1.6.朝日新聞・編集委員・福島 伸二氏
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