散歩道<6735>

                       面白い話・内館牧子さんの本の紹介

 「すぐ死ぬんだから」の著者に会いたいの内館牧子さんの話が面白い。・・・装いを磨いて心が弾む人生を・・・
 5年前、80代中心の集まりにオブザーバーとして出た。「くつきり2つに分かれていた。自分に手をかけておしゃれにしている人たちと、身なりに構わない人達」「見ていると、おしゃれの人達は明るく元気で、リーダーシップがあり、気配りもすぐれていた。「外見と中身は連動している」と感じた。
 自分の同窓会で。さえない男たちにまじって、すてきな男性がいた。友人に「あの人は何君だつたっけ」と訊いた。「ばかねえ、先生よ」と返された。
 こうした体験から、品格ある老い方について考えた。おしゃれな高齢者の物語を描きたいとおもった。そうして生れたのが、主人公の忍
(おし)ハナ。78歳。東京・銀座を歩いてシニア向けの雑誌編集者に「写真を載せさせていただきたい」と頼まれるほどの女性だ。
 このハナさんの言葉が刺激的と言うか、過激と言うか。「ババくささは伝染
(うつ)る」「先の無い年代に大切なのは、偽装。これのみ」「『ナチュラルが好き』という女どもは、何もしないことを『ナチュラル』と言い、『あるがまま』といつている」
 「大事なのは他人の評価だ」lこうした言葉を連ねたのはなぜか。「すぐ死ぬんだからか楽が一番と言うのは分る。中身が大事というのもその通り。けれども、それだけではないのではないか。逆に、すぐ死ぬんだから好きにやる、自分の装いを磨いて心を弾ませるという考え方があつてもいい。ハナを通じて、それを伝えたかつた」
 数年前、桜に見とれながら歩いていて段差がある所で転んだ。右足に指が全部折れた。外に出なくなり、化粧もいいかげんに。誰かの手を借りるのが嫌で、何をするのもおっくうになつた。「ああこれが老人になるということだな」とおもつた。動けるようになつて、自分に手をかける気力がよみがえり、ほっとした。
 「終活」はしない。エンデイングノートを付けるのも嫌だ。「性に合わないから。相撲だ、プロレスだ、ボクシングだとい心弾むことと接して、残りの人生を生きたいです」

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'18.11.10.朝日新聞