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「仕返し主義」今も死なず

 日本は初の訪問だった。その感想は実に印象的だ。「日本にはアルザス・ロレーヌがいたるところにあるのですね」 北方領土、竹島、尖閣列島・・・・隣国とに間の領土をめぐる紛争をブロサ氏は「日本での驚き」としてあげた。アルザス・ロレーヌは、領土と資源に関して仏独が長年争ってきたが、今では中心都市のストラスプールに欧州連合(EU)議会が置かれ、欧州統合の象徴となっている「領土紛争は、欧州では意味を失った19世紀的ナショナリズムのモデルです」「戦争が可能なオプションとして残っているからだろう、とその背景を分析する。日本の政治指導者が歴史をめぐって隣国と摩擦を高める発言を繰り返すのも「地域的な覇権をどちらが握るかという”帝国の幻想”が東アジアでは死んでいない。国家間の対立を煽る為、偉大な過去をあおる必要があるのだろう」とみる。ポピュリストの政治家はフランスにもいるが、取り上げるのは治安。歴史や領土では人々は動かない。だが、そうした了解が成立しているのは西欧に限られるともブロサ氏は留保をつけた。同じ欧州でも、バルカンなどの地域では事情が違う。フランスにしてもアルジェリアをはじめ旧植民地との間では難しい歴史がある。

'06.2.20.朝日新聞・アラン・ブロサ氏