散歩道<6656> 899から移動
「ミメティスム」で読むアジア(3) (1)~(3)へ続く
「仕返し主義」今も死なず
小泉首相の靖国神社参拝にも驚きを隠さない。「国家の承認を与える行為だ」。若い世代の政治家から批判の声が起きないのも驚きだったという。「日本は単一民族だといった国家をめぐる言説がいまでも有効だからでは」としたうえで、「国家の偉大さを誇りとするような公的な物語とはちがう語りを考える事が大切」と語った。西欧と東アジアでは何が違うのか。「あくまで欧州人の視点ですが」と前置きして、ブロサ氏はまず「地理的条件」をあげた。欧州は小さい国が数多く隣り合って住んでいる。国境を越えなくては生きていけない。民族も文化も混じりあった共同体への動きが進んだ。さらに、「西欧では2度の大戦での壊滅的な惨禍がミメティスムでは何も解決しないという暗黙の了解を人々の間に生み出した」。第2次大戦が終わった翌年に生まれたブロサ氏に、破壊された街や、空腹の記憶は今も鮮明だという。小学校教員だった両親はブロサ氏がドイツ語やドイツ文化を学ぶように仕向けた。2度の大戦でドイツと戦った祖父は、ドイツ語を学ぶことを喜んでくれた。「仕返ししても何も解決しない。相手の立場を理解しようとする普通の人達の開かれた態度が、西欧に暗黙の了解を成立させた」と考える。「2度経験しないとわからないものでしょうか。日本は、もう一度の経験が必要なのですか・・・・。空恐ろしいことです」
'06.2.20.朝日新聞・アラン・ブロサ氏