散歩道<6642>              887から移動

                         日本は経済格差社会か(2)              (1)~(3)へ続く
 
                        拡大の主要因は高齢化揃えたい人生の起点

 ではなぜ国民の間に格差が拡大しているという感覚が高まっているのか。色々な理由はあるが、一つは「将来」の所得格差が拡大すると考える人が増えているからだ。90年代に大企業のホワイトカラーに成果主義が導入され、勤労者層では、将来の所得や保有する資産に左右される「消費水準の格差」が広がっている。さらに影響が大きいのはデフレと低成長だ。大卒の中高年層の賃金格差は一貫してひろがり、最近は名目所得が下がる人もでてきた。たとえ生じている格差自体は同じでも、インフレで全員の賃金格差より、心理的なショックが大きい。90年代は若年層で失業者やフリーターが増え、正社員との間で所得格差が生じたことも見逃せない。04年の全国消費実態調査でも20歳代だけ所得格差が広がっている。所得税の累進度が緩和され、相続税も下げられるなど、税による所得の再配分効果が弱体化したのも一因だ。日本は経済協力開発機構(OECD)諸国の中でも珍しく、再分配の可処分所得ベースの格差が拡大している。ただ、小泉政権の規制緩和が所得格差を拡大させたという主張には賛同できない。低所得のタクシー運転手が増えた例がよく挙げられるが、元々運転手だった人たちの所得が下がった一因は規制緩和かもしれないが、もし規制が残っていれば、不況でリストラされた人たちは運転手になれず失業者になっていただろう。

'06.2.10. 朝日新聞  大阪大学教授・大竹文雄様