散歩道<6621>
インタビユー・特攻隊生んだ日本社会は(5)
太平洋戦争末期、飛行機ごと敵艦に体当たりする特攻作戦により約4千人の若者が命を落とした。軍幹部ですら、「統率の外道」と指摘したとされる異常な作戦に突き進んだ空気感は、戦後73年たって変わったのか。「不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか(講談社現代新書)を書いた作家の鴻上尚史さんに聞いた。
世の中は多様に 排斥しても 何も始まらない
・・・戦後、高度経済成長期やバブル時代を経ても、「世間」はなかなか変わらなかったと。
「高度経済成長期は、日本ナショナル・アイデンティテイー(国民意識)になった。豊かになることに向かいこの国は進んできたけれど、バブル」経済の崩壊後、失われた20年が来ました。我々は今、ポジティブに言えばどこに向かうべきかを探している時代で、ネガチィブに言えば、喪失した時代です」
「一部の人は、世間の人々がみな仲良く助けあっていた、古き良き伝統のある日本に回帰することを目指しています。僕はそれを『世間原理主義者』と呼んでいます。しかし、世間と呼ばれる共通の価値観で生きていく前提はすでに崩れているのに、それを取り戻そうとすると、同じ価値観に染まらない人達への排斥が始まります。それがLGBTの人は「生産性がないと驚くべき発言につながるわけです。世の中が多様になる流れは必然で、排斥しても何も始まらないはずです」
・・・・一方で、こうした言動に対抗右する動きもあります。
「そういう面では実にスリリングな時代、おもしろい時代だと思いますね。『生産性』というような視点でしか語れない政治家がいる一方で、すぐに抗議デモが起る。しかしこれは、両者の分断が進む危険性もはらんんでいます。恐らくネットが普及した影響が大きいと思います。新聞がメディアの一番手だった時代は、自分が読みたくないものも目に入りましたが、今は自分の読みたい文章だけ読んで一生を終えられるようになりました。情報がたこつぼ化しているのです」
<検>戦争、<検>政治、<検>若者
'18.8.23.朝日新聞・作家・演出家・鴻上尚史氏
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