散歩道<6563>
異論のススメ (4)・ 死を考えること・人にやさしい社会への一歩
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仏教の教えの根底には、現世の欲望や我欲を否定し、無我や無私へ向かい解脱を願うという志向がある。悟りを開くことによって生への執着や死の恐怖を克服しようとするところがある。これは、西洋のような絶対神をもってきて、神との契約の絶対性や神の教えの動的的絶対性を説くやり方とはかなり異なっている。西洋では人は神に従属している。しかし、日本の宗教意識においては絶体的な神は存在しない。むしろ、清明心であれ、「無」へ向かう性向がみられることは間違いないであろう。
私には、もしもこのような宗教意識が今日のわれわれにある程度共有されておれば、これほど騒々しく他人の非を責めたて、SNSで人を誹謗(ひぼう)、競争と成長で利益を得る事ばかりに関心を向ける社会にはならなかったのではないかと思われる。今年か学校では道徳が教科化されたのなら、ぜひとも、日本人の酒興意識や世界の宗教の簡単な解説ぐらいはすべきではなかろうか。 <検>宗教、<検>氏名
'18.8. 朝日新聞・佐伯啓思氏
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