散歩道<6562>
異論のススメ (3)・ 死を考えること・人にやさしい社会への一歩
◎ ◎
では今日の日本における酒興意識とはなになのだろうか。NHK放送文化研究所うの調査(08ねん)によるrと、「死後の世界を新る」という人の割合は44%もあり、特に若者層では多い。しかも確実にこの割合は増えている。「祖先の霊的な力を信じる」人は47%ほどもいる。だがそれでは、このうちどれぐりの人が、神
道であれ、仏教であれ、その教義や教説を知っているのだろうか。おそらくは、その内容はさして知らないが、なんとなく宗教への関心がある、という事であろう。
明治の近代日本では、神道の国家化と反比例して仏教は排斥された。そして、戦後になると、宗教は、近代社会の合理主義や科学主義、自由主義や民主主義とは正面から対立するとみなされた。そして、近代以前に人々が自然に持っていた死生観も失われていった。
◎ ◎
先日、オウム真理教の元幹部たちが死刑に処せられたが、もしも、われわれが、多少なりとも仏教の教説を知っておれば、この団体が若い人たちにこれほど大きな影響力を持つことはなかったのではないかと思う。また、全近代にあったような、神道的、あるいは仏教的な死生観がある程度共有されておれば、そもそもこのような団体が生まれたかも疑問に思う。もっとも過激な行動に駆り立てられた元幹部に高学歴のいわば合理主義的な科学に浸された人達が多いというのは確かに考えさせられることなのである。戦後の宗教意識の排除が、逆に,秘教的なカルトへと安易に寄りかかる道を開いたとも思われる。<検>宗教、<検>氏名
'18.8. 朝日新聞・佐伯啓思
![]()