散歩道<6554>

                                    原爆投下から73年(2) 核廃絶へ市民の連携を
 

 
危うい不拡散体制

  核戦争がどれだけ差し迫っているかを表す「週末時計」。掲載する 米科学誌は1月、破滅を示す午前0時の2分前まで時計を進めた。
 冷戦下で米ソの水爆実験が続いていた1953年とおなじ最悪の水準である。その後、北朝鮮による核戦争の緊張はやや緩んだものの、トランプ大統領の対外政策は状況を複雑にしている。
 とりわけ、北朝鮮とイランへの待遇の違いが核の拡散を防ぐ国際努力を揺さぶっている。
 北朝鮮は、核不拡散条約(NPT)から脱退して核実験を繰り返してきた。一方のイランは反米を唱えつつもNPTにとどまり、核開発を抑える多国間の核合意を守ってきた。
 その北朝鮮と談笑しながら、イランとの核合意からは一方的に離脱し、敵対心をあおる。理不尽で一貫性の無い対応だ。
 トランプ氏はまた、NPTに入らず核保有したイスラエルを、これまでの米外交の常識を超えて厚遇している。
 これではルール破りの核開発を目指すほうが得策に見えてしまう。冷戦以来、核不拡散体制を主導してきた米国自身がそれを損ねる動きに陥っている。
 核抑止力を信奉する保有国。その「核の傘」に頼る同盟国。旧態以前の安全保障の縛りが続く限り、核軍縮は進まない。

<検>社説、<検>戦争         ’18.8.6.朝日新聞