散歩道<6509>

                         耕論・服が安く買える社会で
                                    江戸の循環型経済に回帰(2)


  それを古着屋に売ったり、質屋に出したり。古着を買ったりする人もいました。庶民は庶民なりに、そんななかでの流行を追っていました。古着を縫い直す技術がだれの手にもあることが、この循環を支えていました。
 子供用に直した後、着るものとして使えなくなると、今度は布団地や敷物、クッションに形を変えました。使い終わり、かまどで燃やしたあとの灰さえ、灰買いが引き取り、畑にまく。資源を自然から引き出し、長い間の幾通りもの循環プロセスを経て、自然の中へ戻していくのです。
 今後の日本が目指すべき循環型モデルが、江戸の着物社会にもあるように思っていたのですが、実は若い人の間でそうした動きが始まっているのかもしれませんね。
 メルカリで売買し、お直しして着ることにも慣れている人が増えているようです。着物の場合、重さや軽さ、着心地や快適性など手で触って見ないとわからないことが多くありますので、私には、ネットで着物を売買するというのは想像できません。でも、若い人たちが古着を利用する目的がただ「安く買う」ことだとしても、それが社会全体として循環し始めている。その消費行動には、産業革命から続いた大量生産、大量消費では、もう世界は持続出来ないという、エコロジカルな潮流が底にあるのだと思います。
<検>時代

 '18.7.5. 朝日新聞 法政大学総長・田中 優子さん
   
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