散歩道<6477>
ザ・コラム・流動化するアジアで(2)
「見る 聞く 言う」の存在感 (1)~(3)
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台頭する中國と向き合う為、日本に取ってインドの重要性が高まっている。米国とともに、「自由で開かれたインド太平洋戦略」を掲げ、関係を強化している。インドも国境紛争を抱えるうえ、スリランカ、モルディブ、パキスタンと周囲の港を整備を続ける中国を警戒する。習近平政権の 対外戦略「一帯一路」にも冷たい。中国政府の情報収集の拠点とみて中国が世界に展開する中国語の教育機関「孔子学院」の設置にも消極的だ。
ただ、インドはそれだけではない。中国が主導して設立したアジアインフラ投資銀行(AIIB)は来週、3回目の年次総会をインド商都ムンバイで開く。中国研究で知られるネール大学のコンダパリ教授は言う。「中国に地域をハイジャックされないために加盟したのだ」。日米は入らなかったが、インドの出資比率は中国につぐ2番目。副総裁のイスに座る。
興味深い案件がある。インド洋から中東へ至る会場ルートの玄関口オマーンの港湾都市ドゥクム中國が工業団地を造っている。先には中國軍初の国外基地のあるジプチが控え、中印の勢力がせめぎあう場所である。皆との開発にAIIBは300億円相当を貸す。インドはなぜ、許したのか。
「自らもメンバーの組織がかかわれば、情報も得られるし、誘導も出来る」。中国がAIIBを国際機関として育てるなら地域の大国インド抜きはありえない。米国との摩擦が強まる中、インドとの関係は重みを増す。その足元を見ながら、カネを出すなら口も出す。審査中も含めると全45件のうち、12件がインドでの事業である。
<検>社説、<検>外国・インド、
’'18.6.21. 朝日新聞・編集委員・吉岡 桂子氏
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