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経済気象台(14)・強い社会的責任感と行動と
今年テレビの「誠に申し訳在りませでした」と、経営者が頭を下げる不祥事をあやまる場面をよく見かけた。そのため何とも言えないやりきれない思いをさせられた。私の接してきた大阪の中堅・中小企業の経営者は実に素晴らしかった。すでに故人ではあるが、ここにに2人を紹介する。まず無添加の佃煮を製造販売する中堅企業の社長だったH氏。経済振興のためには文化の振興が大切であると考えにもとずき年4回の発行の「大阪春秋」を創刊した。関西では今でも出版物の発行は難しいというのが常識だであるが、知人の学界人や郷土史家などの協力をえ、さらに経済界のスポンサ-によって、計画から1年で発行にこぎつけた。その準備過程を見ていると、限られた資金、人材などを駆使して、マーケットを創造するのが経営者だと痛感させられた。ある時自宅の書斎に招かれたことがあった。書棚の真ん中に座り机があり、いかにも文人、学者の雰囲気がある書斎であった。社長業というストレスをこういう形で癒しているのをはじめて知った。今では通算120号と続いている、大阪を代表する歴史文化誌に育っている。さらに布団・衣料の中小卸小売業の社長だったN氏。大阪では有名な「3ケチ」の1人で例えばコーヒーの残りの砂糖の袋を大切に家に持ち帰るほど。だが、経済界のまとめ役的存在だった。経済人、役人から一目置かれていた。晩年、商業博物館の設立を提唱し、今日「企業家ミュージアム」として開館している。彼等の行動は企業内にとどまらない、社会的活動にも積極的にかかわっている。企業は本来、マネジメント活動を通じて社会と強くつながっている。新年は、企業でのリーダーシップはもとより、経営者は社会に少しでも喜ばれるリーダ-として役割を実践してもらいたい。2006年1月2日
'05.12..朝日新聞
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