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                   経済気象台(13)・雨の日に笠を取り上げる

 「銀行は中小企業に晴れた日には傘(資金の意)を貸すが雨の日には貸さない」という例えはなかなかの名言ではないかと、知り合いの経営者に話すと、すかさずそれは甘い。雨の日には傘を取り上げるのだ」と強調した。日頃、金融の厳しさを実感している人の言葉だけに説得力がある。現在政府系8金融機関の統廃合が大詰めの段階を迎えている。各機関の役割分担が明確になってきたことは、ここ十数年来、指摘されてきた。やっとここへ来て、それが実現へ大きく動いているのは、金融の効率化の上から、誠に結構なことである。政府系金融機関は、これまでわが国の高度成長と、経済の安定化を演出する役割を果たしてきた。その役割を終えて、今日の統合化の動きは新たな役割が求められているとの認識が必要である。ただ問題は統廃合の結果、金融の量(必要額)・質(低金利)両面の安定化的供給が確保されるかどうかである。特に中小企業金融の行方が注目される。中小規模の企業をわざわざ中小企業基本法で資本金額・従業員規模で区分しているのは、企業努力だけでは克服出来ない経営力、技術力などの問題を抱えているからである。特に金融問題が解決すれば、中小企業問題の大部分が解決すると、言われているほどだ。中小企業金融を、市場にゆだねて解決するには限界がある。日本経済がここまで発展してきたのは、ネットワークのようにあらゆる分野で中小企業が活躍してきたからである。今日、ややもすると創業やベンチャー企業に傾注して、一般の中小企業を忘れがちである。これからの日本経済の発展を考えると、たとえ8機関が一本化されても、中小企業の意義を再認識し、無担保で無保証の金融を思い切って拡充する改革を実現してもらいたい。雨の日にはやはり、代替えの傘が必要だ。2006年1月2日   

'05.11.25.朝日新聞