散歩道<6472>
耕論・ ひきこもるアメリカ・
関税報復合戦は大打撃に(3)
約40兆円という最大の貿易赤字をかかえる中国に的をしぼって行動していれば、まだ弊害は少ない。先端技術を取り込むための中國の強引なやり方には、日本や欧州にも不満があります。米国は日欧と協力して中国と技術貿易のルールを辛抱強く決めていけばいいのに、なぜ日欧まで的にした行動をとるのでしょうか。
トランプ政権の行動がめまぐるしく変わるのは、安全保障と貿易をリンクさせ、両分野の交渉を同時に進めているからです。安全保障で与えた恩は貿易で返してもらうというスタイルなので、防衛を米国に依存している日本と韓国が、貿易で一番割を食っています。特に北朝鮮の非核化問題があるいま、米国に何をされても、日韓は報復処置をとれません。韓国に自由貿易協定(FTA)見直しを大幅な譲歩を押し付けたように、今後、日本にもFTAを押し付けくるかもしれません。
トランプ氏は、不動産業で用いた取引(ディール)の手腕が貿易交渉にでも成功すると考えています。しかし、米国のような超大国は ディールに没頭するのではなく、ディールが公正に行われるような貿易ルールをつくり、守るべきです。トランプ氏が崩壊させた貿易ルールの廃墟の下で、いま、全世界を相手にした関税の報復合戦が始まろうとしています。<検>社説
'18.5.21.慶應大学教授・竹森 俊平氏