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            時流・自論(3)10年後の予想・2005年の予感    '05.12.29.~12.30.朝日新聞)

氏名 現在の資格 項目 今年見えた
10年後
予想コメント・一言メモ
金森修 東京大学大学
教授
下流社会 笑いのない
警察国家
三浦展の「下流社会が売れている。人間類型の描写が面白い、だがそれだけなら社会風俗本にとどまるだけだ。気になるのは作者が社会階層の格差拡大を加速させているのは個人の意欲やコミュニケーシヨン力とするところだ、下流社会にいる人は積極性がなく、人と満足なコミュニケーシヨンも取れないというような分析がなされるとき、それは当人の責任とみなされても仕方がなくなる。社会問題が半ば心理化され、個人化される。システムへの批判力が霧消する。救われるのはこの本にあるユーモアだ。読者も1種の擬似的な鏡を作り上げ、自分が下流だと思う人は笑い飛ばし、上流だと思う人は肩をすくめているだろうか。例えば10年後階層格差までが個人責任化される時下流社会の暴発を未然に防ごうとする警察国家の到来が既に予兆でできる。そこはユーモアではない
池内恵 国際日本文化
センター助教授
エジプト
同時テロ
中間層が
安定要因に
7.23.はエジプトの革命記念日で、体制の正当性を確認する最重要の日。シャルムエイクは紅海の「世界一澄んだ海」を擁しダイビング客を欧米から集める。国際会議は中東和平交渉で緒大国の首脳を向かえ、エジプトの地域大国としての地位を内外に誇示する場である。この日にこの場所を狙って大規模に武器・弾薬を集結させた。底知れぬ権力闘争の存在を感じさせる。中東においてはテロは貧者の最後の手段どころか、政争の延長戦上にある。計算された手段である。10年程度でこの風土が代わるとは思われない。犠牲者の88人のうち外国人は1部で、後皆はエジプト人だ。深夜の繁華街にやってきたエジプト人客と従業員ばかりが犠牲になった。この10年の経済自由化と近年の資源の高騰で中東の消費と娯楽が激変した。失うものができた中間層の増大が、安定化要因になるかもしれない
幸田真音 作家 人民元
改革
*2
アジアの通貨
状況一変
中国政府が、制限つきながら人民元を変動相場制に移行するシグナルを出した。10年後にはアジア地域の通貨状況が一篇しているのではという予感を改めて抱かせる出来事だった。円ードルを軸に考える日本の金融政策も変貌強いられているはずだ。懸念材料は元や中・韓との政冷に関心が集中するあまり、日本の視線が東南アジアに届きにくいことだ。東南アジアは注目すべき状況にある。ただ「元の改革」はこの地域に「元通貨圏」の脅威を生みかねない。そのため対抗パワーとしても新しい通貨メカニズムの重要性が増している。しかし、小泉政権の対米重視、中韓対決路線で、東南アジアではジャパンマネーの陰が薄くなっている。之では「元の台頭」に対処し損なうばかりか、日本は米国と手を携えて「孤立への道」を歩みかねない。このリスクを回避するのは、市場機能ではなく、政治の仕事であろう
西川伸一 理化学研究所
副センター長
ES細胞
疑惑
贈与語り
合う社会に
韓国の黄禹錫・ソウル大教授がヒトのクロン胚から胚性幹細胞(ES細胞)を作ることに世界で始めて成功したと注目をあびた。研究成果は虚偽ではないかという疑惑が生じ、世界を巻き込んだ騒ぎに成っている。その顛末に関係なく10年後にはクロン技術を使わずとも、自分の細胞をES細胞)に変換できる技術に目処がついているだろう。細胞の運命を変えることは、科学的事実だからだ。自分の卵子を研究に提供するとい決断は、崇高な気持ちによるはずだ。心のこもった贈与は金銭目的の提供と同じではない。寄付や贈与はモノの交換を拒否し、連帯の気持ちを示す重要な行為だ。顔の見える「あげかた・もらいかた」について議論し、贈与の心に満ちた日本にしたい。政府臨調が寄付文化を育む方向にかじを切りはじめた。是非期待したい。

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