散歩道<6157>              680から移動

                       安藤忠雄さんからあなたへ(1)人間も建築も自己中心では限界がある

 周りのことは一切お構いなし、自分のことしか考えられない、自己中心的な人が増えてきたように思います。建築の世界も同様です。一つ一つ観れば実に表現力豊かでいいのですが、一方では、どこに建つかなど全く考えられていない。自己完結型の建物が増えています。おかげで街並みのバランスは崩れ、なじみの風景が姿を消していくような、淋しい事態が起こっています。
 私が建築の道を歩みだしたばかりのころ、アルバイト先の設計事務所の所長にこんなお説教を受けました。「建築設計で成功するには才能がいる。いい生活を望むなら、今のうちに転職しろ。ただし、技術者として社会に貢献しようというなら道はある。この技術とは、建築工学技術と、建築を作る上での作法、気配りの技術の2つだ」、後者の技術とは、建築と街並み、ひいては周囲の自然とのかかわりをいかにするかという問題でした。敷地に木があるなら、なるべく木を残すような建物の配置を考える。何もなければ、なるべく目立つ位置に木を植える。彼曰く「そうすれば建物が仮に無様でも、5年で大きく茂った木が覆い隠してくれる」と。当時は意地の悪い冗談ぐらいに思っていましたが。
2005年10月26日      
'05.10.24,朝日新聞

関連記事:散歩道<259>仕事について、<404>発想変化の時代・1000本の桜を植林(大阪)、<417>新年・日本の皆様へ

                                       32