散歩道<6036>               661から移動

                           テロと戦争(4)             (1)(4)続けます 

  この逆説が生じたのは、イスラム主義の側に戦域を欧米社会に拡大するという考えが生まれたからだ。それはテロリズムの脱領土化や超中東化につながるが、イスラムテロリストには過去の民族解放闘争と違って領域国家をたてる意思もなく、ましてや西欧にイスラム国家を作る根拠もあるはずがない。ただし、彼等はロンドンのテロをバグダツトの運動と同一視しながら、イスラムの名によるテロをジハード(聖戦)などイスラム法典の理論で正当化しようとしてするのだ。欧米でテロをするものについて、植民地支配のトラウマや欧米社会の「差別と偏見」に基本要因を求める知識人も多い、欧米で成功したアジア系の学者にはテロの加害者責任を無視しがちな者もいるが、その屈折した歴史認識は興味深い。「アルジェ戦い」の時代には、ゲリラ戦争でもテロを否定しゼネストによって民衆の声を国連に届けようという理性も働いたていた。しかし、具体的目標のないテロのためのテロは国際世論を斟酌(しんしゃく)しようとしない。日本人にとって「天を射る」(『史記』)おぞましいテロとの対峠(じ)をこれからもしばらく覚悟しなくてはならない。2005年10月14日  <検>政治、<検>戦争、

'059.5.朝日新聞・東京大学教授・山内昌之様

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