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                           テロと戦争(2)                      (1)~(4)続けます

  しかし、テロだけで国家の独立を達成した民族もなかった。「革命と戦争は武器だけでは勝てない。テロは最初だけだ。後には民衆の支持が必要となる。国民全体を動かさないとダメなのだ」。これはテロが民族自決や国民国家の樹立に向けたゲリラ戦争の1コマとして局地的な性格をおびていた時代のことである。ゲリラ戦争のテロは、できるだけ人命を尊重する禁欲性があったからこそ、ぎりぎりで大儀に訴える部分もあったのかもしれない。私はイラクの反米武装勢力によるゲリラ戦術の原型を第1次大戦中の「アラビアのローレンス」の作戦と比較したことがあるが、ゲリラ戦と自爆テロが結合した現代イラクの武装闘争には、ローレンスが強調した人命を尊重と世論への配慮が見られない。彼は戦争の重要な要素として敵国や中立国の「人心」を考え、自らの大儀に世論の支持をひきつけることを重視した。その意味では米軍の攻撃も個人と家族に大きな被害をもたらしており。ローレンスの教えを学んでいない。勿論、国際テロイリズムによるイラク市民の無差別テロは確信犯であり、犠牲者の増大は偶然といえない。そこには前線の背後で、我々を支持してくれる民族の人心をもえなければならない」といった心づかいは最早ないのだ。7月にロンドンやシャルムエイクで悲惨なテロを起こしたイスラム主義者たちにも、市民の間に恐怖や脅威をまき散らす自らの「狂気」におじけついた気配はない。2005年10月14日       '17.11.4.      <検>政治、<検>戦争

 
'05.9.5.朝日新聞・東京大学教授
山内 昌之様

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