散歩道<6030>                  658から移動

                      面白い話(71)演説・めりはりをつける

かたえくぼ:名画強奪:叫べばよかったのに・・・・・・・・・・・ムンク(コニー)                              

                    高・低・明・暗の好対照「めりはりをつける」

 歌舞伎の台詞(せりふ)の抑揚を表わす言葉に、「めり」というのがある。よく似た言葉に「めりやす」があるが、こちらのほうは、下座音楽の一種で、三味線一丁に長唄という、もっとも物静かな音楽で、心中や、愁嘆場などのしんみりした場面でつかうものだ。これに対して、「はり」という言葉は、「滅入る」からでたと考えられる「めり」とは正反対で、「張る」からきており、台詞(せりふ)の抑揚をはっきりとさせることを意味する。明・暗・苦・楽・緩・急などの「めりはりをつける」ことは、歌舞伎の世界にかぎらず、現代の芸術や仕事ひいては人の生き方についてさえ通じる真理ではないだろうか。樋口清之様

                     義理を欠いては、聴きてがいない演説

 英語の「スピーチ」を「演説」と訳したのが、慶応義塾の創設者福沢諭吉であることはよく知られている。明治6年、諭吉が『会議弁』という本を書いた時に「多くの人の前で自分の意見をのべる」という意味でこの言葉を使ったのだが、実はこの言葉、元の意味はまるで違っていたのだ。『大字典』には、「演の本義は水の長き流れのことであり、転じて長く引き、広まるの意」とあり、説とは、『文体明弁』に「解也述也、義理を解釈し己が意を持ってこれを述ぶるものなり」とある。やさしく言えば、演説は昔、「義理を広めて説く」という意味に使われていたのだ。義理を欠いた政治家の演説に、聴衆が集まらないのも、けだし当然である。樋口清之様

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