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                             脱9・11への転換  寺島実郎氏(2)           (1)~(4)へ続く

  パウエル前国務長官自身がイラク開戦前の国連での「大量破壊兵器」に関する演説を人生の汚点と表現したごとく、ブッシュ陣営からも反省の言葉が聞かれる。イラク=ハリケーンの連鎖はエネルギー消費国家たる米国に皮肉なインパックを与えている。アメリカ人の潜在心理としては、サウジアラビアが不安定含みの中東でイラクに石油権益を確保することは米国のエネルギー戦略に優位を持たすはずだった。ところが事態は石油価格の急騰となって国民の家計に深刻な影響を与えている。2003年1.5㌦前後だったガソリンは2倍以上も跳ね上がり、車なしでは生活できない米国民を直撃している。これがエネルギー過剰消費社会を転換させる契機になるかどうか分からないが、米国経済の根幹を揺るがしている。テロの衝撃を受けて「力によるアメリカの正義実現」を掲げてイラクまで突撃した興奮が冷め、幻滅の中から新たな針路を模索せざるをえなくなった米国が見えはじめた。それは「唯一の超大国」といわれ、冷戦後の世界をリードしながら、新世界秩序の創造に失敗し、世界の敬愛を失いつつある米国の姿に米国民が気づき始めたこともある2005年10月8日 
   
'05.10.6.朝日新聞・日本総合研究所理事長

散歩道<64>21世紀に突きつけられた課題、<150>バックアップシステム、<152>1年目の同時多発テロ、<202>米国の問題・世界への無関心、<364>9・11事件3年目(1)、<365>(2),<370>寺島実郎氏時代の深層底流を読む(1)、<371>(2)、<562>ロンドン・エジプト同時多発テロ(1)<571>(2)<855>心の風景