散歩道<5996> 

                                   日曜に想う・これは選挙かパロディーか(1)

 これはもう選挙のパロディにしか見えない。ほんものの選挙なのだ。
 「専権事項」という理屈で、多くの国民があっけにとられる中、安倍晋三首相は衆議院を解散した。消費税の使い道を問う、などと説明する。それなら解散せずに議会で議論すればいい。そのために議員という代表を選出しているのだ。北朝鮮情勢の緊迫も持ち出す。だったら新しい「仕事人内閣」(前は違ったんだ
・・・)が外交などに全力を挙げるべき時ではないか。そもそも緊急時に立法府の空白は許されないと会見を主張していた。結局、本心では情勢が緊迫しても衆議院員はいなくてもいいと思っているらしい。この政権は今後、「緊急事態条項」が憲法に必要とは言えなくなりそうだ。口にすれば悪い冗談としか聞こえまい。
 意味不明の解散で野党も迷走に陥った。対抗勢力として最初に注目を浴びた「希望の党」は与党だか野党だか。「寛容」をキーワードに掲げたけれど、党代表の小池百合子東京都知事は、候補者の選別や統制に熱心に見える。
 退けられるのを恐れて候補者が御意に従うばかりだと、国民が投票できるのは指導者のめがねにかなった人物の中から、になってしまう。独裁国家の「なんちゃって選挙」を連想させる構図だ。
 一連のドタバタを首相が嘆いた。「ただ単に当選するために右往左往しているような姿を国民に見せるべきではない。大変残念」。おっしゃるとおり。選挙は病んでいる。でも、まるでその原因が症状をけなしているみたい。
 グロテスクだ。   
<検>政治

'17.10.8. 朝日新聞編集委員・大野 博人氏

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