散歩道<5960>

                                     経済気象台(850)・無責任な政策対応をただす

 安倍首相はこれまで一貫して「経済再生と財政再建の両立」を目指すとし、高めの成長を想定しそれによる税収増に期待をかけてきた。来年度遺産の概算要求が始まる時期を迎え、持続的な経済成長の為に、歳出面からの成長促進の必要性を改めて強調している。
 先般、内閣府は「中長期の経済財政に関する試算」を公表した。この試算によると、2020年度の財政再建目標である国・地方の基礎的財政収支(PB)の黒字化は、達成可能とは到底思われない。つまり、経済再生ケースである名目3%以上で成長しても、20年度は8.2超円の赤字となる。より現実的に1%半ばの成長を予想するベースラインケースでは10兆円以上の赤字となる。
 安倍首相の政策対応とこの見通しは明らかに大きく乖離
(かいり)する。20年度の8~10超円規模のPB赤字は、何も今回だけ示されたものではなく、多少の違いはあるものの過去数年間公表されてきたものである。赤字解消のためには制度的に歳出削減か増税しかあり得ないが、付す異議なことにその具体策には一切言及してこなかった。
3年後に迫った財政再建の目標年度を前にして、首相は相変わらず「成長促進=税収蔵」で乗り越えようとしているが、破綻(はたん)しているというべきだろう。7月の本欄で安倍政権の「過大な成長見積もり」を指摘したが、現実に目をつぶり、願望のみ表にだす政策対応は無責任のそしりを免れまい。現在の景気状況ならさらなる財政出動は必要ない。
 いま必要なことは、19年10月に消費税率10%に引き上げることを明言すると同時に、本格的な歳出削減及び税制改革の具体策を提示することである。
'17.8.30, 朝日新聞