散歩道<5956>
経済気象台(846)・日銀は沽券をすてよ
金融政策を担う日本銀行の政策委員は、総裁、副総裁2人、審議委員6人の計9人。先月その審議委員2人が交代した。就任記者会見んで、少し気になる発言があった。「何としても、2%の『物価安定の目標』を達成したい」。意気込みは買いたい。しかし、市場では2%の物価目標が妥当なのかが問われている。
黒田日銀体制になって4年4か月。国債などを大量に買い込み、短期金利をマイナスにしても。2%の物価目標には1度も到達していない。直近の物価上昇率は0.4%。極端な金融緩和の副作用で市場機能は大幅に低下し、金融システムは悲鳴を上げ始めている。
2013年1月の政府と日銀の共同声明に「物価安定の目標を物価上昇率2%とする」とある。だからと言って思考停止に落ちるべきでない。「何をしてでも」2%にこだわるなら、賃金上昇が穏やかなのだから、持久戦に取り組むべきだ。昨年9月の「総括的な検証」で切り替えたはずだが、7月の「「経済・物価情勢の展望」の19年度の物価上昇率見通しは1.8%。「2年で2%」にまだこだわっている。
「日本人はなんと申しますか、言葉は少し悪いのですが、沽券(こけん)を貴び過ぎるとい云うことがありませんか」。これは、日銀総裁を2度務めた井上準之介の言葉である。
体面にこだわりすぎて極端な金融政策を続ける限り、金融緩和の副作用は今後もどんどんひどくなるだろう。13年の共同声明には「金融政策の効果波及には相応の時間を要することを踏まえ(中略)、問題が生じていないかを確認していく」ともある。「国民経済の健全な発展」とは何か、いま一度冷静に見つめ直す必要がある」 '17.8.5.
朝日新聞
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