散歩道<5954>
経済気象台(844)・民業圧迫 地域金融の嘆き
政府系金融機関である商工組合中央金庫で不正融資が発覚した。業績の悪化した事業者向けに政府が金利の一部を補填(ほてん)する危機対応融資で書類を改ざん、本来、融資要件に該当しない事業者も業績悪化しているように見せかけていた。実績つくりのノルマ達成の為とされる。
この報道を聞いて思い出したのが、ある第二地銀頭取の怨嗟(えんさ)の声だ。
人口が減少し疲弊が続く地域では、融資先をめぐる金融機関同士の競合が激しい。少しでも有望な事業者には、メガバンクも含めて低金利での借り換え攻勢がひきもきらない。そのような中で、この頭取は十年以上も前から金利以外のサービスで融資先の評価を得る努力を地道に続けてきた。顧客の紹介、商品見本市の開催、海外進出支援、事業承認や再構築の提案。書類事務不慣れな個人事業主の為には、役所への補助金申請手続きの手伝いまでした。そして、担保や保障の有無に頼らず、事業の将来性や経営者の人物をじっくりみて融資判断をすること、なによりも雨が降っても傘をひっこめないことをモットーに、長期的な信頼関係を構築した。そうした大切な融資先を、到底太刀打ちできない低金利によって、政府系金融機関に奪われてしまったのだと憤る。
この事例は法令違反による不正ではないが、マイナス金利に苦しみながら地域経済を支えてきた金融機関に対する民業圧迫は許されるものではない。むしろ弊害はより大きいと考える。
創業時支援や経済環境激変への対応など、政策金融の存在意義まで否定するつもりはないが、その意義・目的に見合った行動をとっているのか。厳しく見直す時である。
'17.6.6、朝日新聞 <6005>日曜劇場・”陸王”
備考:競争社会の情勢の厳しさは解るが、地域で頑張っている中小企業への配慮は、国を挙げやってもらわないと、地域は本当に立ち行かなくなってしまう。
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