散歩道<5932>
経済気象台(839)・国の帳簿をあずかるもの
ジェイコブ・ソールの「帳簿の世界史」によれば、仏ブルビオン王朝の国王ルイ14世は、国の財政状況を規した小型の帳簿を持ち歩いていたようだ。
だが、帳簿を作成した財務総監コールベールが亡くなると、王は携行用の帳簿を辞める。これがあとの財政危機に繋がるというのが、ソールの見立てだ。
いつの世も、財政状態を正確に示す帳簿の存在は、為政者にとって、うつとうしいものらしい。それだけに国の帳簿を預かる者の責任は重い。
参院で審議中の来年度予算案では、新規国債の発行額が今年度の当初予算に比べ600億円減る。財政再建がすすむように見えるが、これは例外的な措置の結果だ。
来年度は、従来と異なり、外国為替資金特別会計(外為特会)の余剰金の全額を一般会計に繰り入れる。例年なみの繰り入れ率ならば、減額は実現しなかったはずだ。
外為特会の剰余金は、為替介入出得た外貨の運用益である。為替相場の振幅を踏まえれば。本来、全額を特会に残して将来に備えるべきだ。実際、過去には巨額の含み損を抱えた時期もある。
しかも、運用益は外貨建てであり、そのままでは国内で使えない。
一般会計に繰り入れるには、特会が政府短期証券を新たに発行して、円資金を調達する必要がある。
国債と短期証券を合わせてみれば、政府全体の債務残高は変わらない。結局、外為特会の負担で国際の減額が実現するにすぎず、財政収支の改善とは言いにくい。
国の帳簿を管理する小野は、財政のありのままの姿を国民位示す責任がある。見栄えをよくする手法を用いるのは、財務相の本文ではあるまい。 <検>経済気象台
![]()