散歩道<5931>
経済気象台(838)・先人の深慮の重み
財政再建が中々進まない。来年度の予算案でも、34兆円大台の新規国債の発行が続く。「2020年度迄に国・地方も基礎的財政収支を黒字化する」との政府目標は達成が危ぶまれている。
国の借金は1060超円に達した。国・地方の債務残高は国内総生産(GDP)の2.3倍と、主要国で断トツの高さにある。
日本銀行の国債保有も410兆円を超えた。国の借金の4割近くを中央銀行が賄う計算となる。日銀がどう説明しようとも、財政規律を弛緩(しかん)させた。
本来、財政法は赤字国債の発行を禁じている。しかし、国会は、特例公債法で発行を容認してきた。日銀による国際の引受け禁止の定めも、日銀自身の巨額の市中購入で骨抜き状態にある。
財政法の歯止めが全く機能していない。子や孫たちに、受益以上の負担を押し付けてはならないとの先人の深慮は、あまりに軽んじられている。
民主主義には弱点がある。選挙での票獲得の為、人々に受けの良い施策を優先し、負担を先送りしがちなことだ。昨年の消費増税の再延長もその典型だろう。行き過ぎれば、財政破(はたん)と高インフレにたどり着く。
これを回避する為、あらかじめ自らを律しておこうというのが財政法の趣旨である。その尊重なしに、民主主義は守れない。
1997年に制定された財政構造法では、財政目標だけでなく、主要歳出分野に量的な縮減目標を定め、断固たる国会の決意を示した。
金融システム不安の発生で、早々に施行停止を余儀無くされたが、わずか20年前、財政健全化への取り組みは誠実だった。今のまま待つのは悠長に過ぎないか。<検>経済気象台
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