散歩道<5896>

                                   経済気象台(823)・上の悦び下の痛み

 
未曽有の喧騒(けんそう)を伴った米大統領選で、米政治史上「最低」ともいえる共和党のトランプ氏が逆転当選した。
 この番狂わせは世界を驚かせた」英国の欧州連合(EU)離脱にも似た歴史的必然かもしれない。続く政治的異変は21世紀が乱世に向かう気配を濃くしているからだ。
 その兆候の第1は民心の離反である。IT革命の振興による経済環境の劇的変化、格差拡大に対処できない既成の指導者に有権者は背を向け始めた。異端トランプ氏はそのはずみで当選しただけで、彼の資質が評価されたわけではない。だが、既存の政治力学に固執し民心を読み切れない統治機構の能力衰退は世界的に広がる。
 第2は民心の乱れである。国境を越えたグローバリゼーションを進める力、それに抵抗して国民的主体性を取り戻そうとするナショナリズムの力に挟
(はさ)まれて、民心はもがいている。その結果、明確な判断を下す物差しを見失い、英国を離脱に走らせ、米国でもトランプ候補に喝采を送った。2016年はグローバルゼーションの分水嶺(ぶんすいれい)になろう。
 第3は民心の錯乱だ。民主主義の最重要機能である選挙が「お墨付き」に利用され、フイリッピン、トルコなど「見かけ民主」独裁的大統領を民心が容認しているので、
「上の悦び下の痛み」がまかり通る。いまや、トランプ氏、ロシアのプーチン大統領、中国の習近平国家主席と三大主要国に独裁的な首脳がそろい、世界をリードする乱世を迎える。
 日本も例外ではないかもしれない。安倍政権の独走を許す自民党の総裁任期「連続3期9年」がほぼ論議なしに決まった。民心錯乱を利用して日本も右へならえする恐れは無きにしもあらずだ。
   '16.11.11.朝日新聞

<検>経済気象台、<検>政治、<検>世相、

備考:この現象は時期が偶々偶然なのか、資本主義が高度になった結果や、IT器機等の高度の進歩の結果このような現象が起きたのか、それがグロバリゼーションとの絡みで必然的にそうなったのか、対処の方法は難しいようにおもう。

                          
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